研究室生活を振り返る

2022/2/10

0. はじめに

修論発表が無事終わり,現在は引っ越しの準備を行っている.

この記事では,(自分語りおよび自慢を含めながら) 研究室生活 (特に大学院生活の2年間) を振り返る.

目次

1. 研究

Publication に書いたように,修士課程の間に5本論文を書き,5回学会発表をした (このことを話すと友人にかなり驚かれる).発表回数だけ見るとかなり多い部類に入ると思っている.また,所属領域の優秀学生賞に推薦された.これについて少し述べさせていただく.

これだけたくさん発表することができた理由として考えていること

  • 理論研究だったこと
  • 学部から修士に上がるタイミングで研究テーマを変えたこと.
    • 研究テーマを変えるタイミングで論文にしたこと.
  • 教授がたくさん発表する機会をくれたこと.

大きくこの3つが理由だと思っている.

(特に数理系の) 理論研究では,「問題設定」 → 「理論 (アルゴリズム) の作成」 → 「数値実験」 → 「議論」といった流れが多いように思う.実機 (e.g. ロボット,ドローン) への実装がない分,実機特有の大変さ (e.g. 誤差による挙動の不安定さ) がなかったというものが大きい.

学部から修士に上がるタイミングで研究テーマを変えた理由は,このまま同じテーマで研究を続けても何も生み出せずに終わりそうだと思ったからである.学部時代は研究が全くうまくいかずに苦しんだので,別のテーマにしてみようと思った.テーマを変える前に論文にしたのも良かったように思う.結果が弱かったとはいえ,自分が取り組んだ研究を論文としてまとめるのは勉強になった.ここで論文を書いたことで,自分の研究をまとめることが苦ではなくなったように思う.

教授が発表する機会をくれたことが一番大きい.修士1年のときは毎週もしくは2週に1回ミーティングをしており,結果が出るたびに教授および助教の先生に共有していた.面白い結果が出て共有すると,「論文にしてみない?」や「学会発表してみない?」と言っていただいたのがとても良かった.やる気のある学生のコントロールが上手く,学生と同じ視点で議論してくれたこともありがたかった.また,研究がうまく進まなくて悩んでいるときや,次のテーマで悩んでいるとき,論文の表現で悩んだときも教授・助教の先生からのご指導のおかげで乗り越えることができた.本当に感謝している.教授陣のご指導がなければ卒業すら危うかっただろう.

他にも,自分の知識をまとめることが好きだったこともあるかもしれない.ブログを書くのは好きだし,取り組んだ勉強や研究をまとめるのは好きだった.教授には「結果をまとめるの早いですね」とよく言われていた.

研究のスケジュール

日程 主にやったこと
2020.4 - 2020.5 論文のサーベイ.問題設定,モデル化
2020.5 学部時代の研究の論文化 (Publication, Journal 1)
2020.6 モデル化,解析と議論
2020.6 学部時代の研究の論文の査読に対する返信 (Publication, Journal 2)
2020.7 - 2020.8 論文執筆 (Publication, Journal 3, International Conference 1)
2020.9 1つ目の研究で考慮できていなかった部分の検討
2020.10 学会の原稿の執筆 (Publication, Domestic Conference 1)
2020.11 国内学会 (Publication, Domestic Conference 1)
2020.12 - 2021.1 研究インターンシップ,論文のサーベイ
2020.12 Journal, Conference の accept の連絡
2021.1 論文のサーベイ,次の研究についての相談と議論
2021.2 新しい問題設定とモデル化,解析
2021.2 学会の原稿の執筆 (Publication, Domestic Conference 2)
2021.3 教授からのアドバイスを受けて論文の追加の節の作成
2021.3 論文執筆 (Publication, Journal 4)
2021.4 国際学会ビデオ録画 (Publication, International Conference 1)
2021.4 論文サーベイ,新しい問題設定の作成
2021.5 問題設定の議論,モデル化,数値実験
2021.5 国際学会 (Publication, International Conference 1)
2021.6 国内学会 (Publication, Domestic Conference 2)
2021.6 モデルの再検討,数値実験
2021.7 問題設定のまとめ
2021.8 追加の問題設定と数値実験
2021.8 数値実験
2021.8 Journal の reject,書き直して再投稿 → accept
2021.9 学会原稿執筆 (Publication, International Conference 2)
2021.10 論文執筆 (Publication, Journal 5)
2021.11 新しい問題設定とモデル化,学会準備
2021.12 国際学会 (Publication, International Conference 2)
2021.12 修論執筆
2021.12 数値実験
2022.1 Journal の accept の連絡
2022.1 数値実験と学会原稿作成 (Publication, Domestic Conference 3)
2022.2 修論発表

実は論文が採択されるたびに修論に追加していっていたので,それほど修論執筆に苦労はしていない (合計 120p).

修論発表では基本的な事項を確認するような質問が来たので,おそらくうまく答えられたように思う.

大変だった時期 (e.g. 2021.3 - 2021.4) もあったが,とても充実していたと思う.

2. 講義・勉強

私の所属する研究科では30単位取得すれば卒業だが,私は60単位程取得した.

理由としては,

  • 暇だった
  • オンライン講義だったので,講義に潜るためには履修する必要があった
  • 研究室の先輩・同期・後輩が非常に優秀で,コンプレックスがあった

COVID-19 のため,遊びに行くのが憚られたというのがかなり大きい.ずっと研究のことを考えていても気が滅入るので,気を紛らわすために講義をたくさん履修した.

また,オンライン講義で興味のある講義を聞こうと思うと,履修登録する必要があった.ある程度のところまで聞いた講義は単位がほしくなったので,最後まで受けたのも多い.

同じ研究室の他のメンバーが非常に優秀で,コンプレックスがあったのも大きい.

実際B4の頃はこんなことをツイートするくらいには自己肯定感がなくなっていた. そのおかげで (理解できているかは別として) いろいろな分野に手を出したと思う.

研究室の同期を誘って勉強会をしたこともあった.テーマはその時々で面白いと思っている分野で,例えば統計学,最適化などの勉強会をしていた.

3. 生活面

大学院入学時から卒業まで COVID-19 には苦しめられた.大学院に入学したと思ったら緊急事態宣言.運が悪すぎる.

修士2年の途中までは自炊をしていたが,後半は自炊する体力がなく,弁当やスーパーの冷凍食品に頼っていた.もう少し自炊を頑張れたら良かったかもしれない.

いろいろタスクに追い込まれて辛くなったときはこっそり1人旅をしていた.はやく気兼ねなく旅行ができるようになる日が来てほしい.

4. まとめ

全然優秀な学生ではなかったし,修士課程に入学したときはまさか自分がこんなにたくさん発表するとは想像すらできなかった.周囲がほぼ全員修士課程に進学するような学科だったので,学部4年のときは特にやってみたい研究や学びたい理論もなかったが,大学院に進学したような人間だった.それでも研究室の同期や先輩,後輩の姿を見て頑張ったと思っている.また,教授陣のサポートがとても手厚かったこともあり,COVID-19 の影響はあったが,とても楽しく充実した2年間だったように思う.(誤解のないように言っておくが,研究の方向性自体は自分で考え,ミーティングで教授からのご指摘をいただき,方向修正をして再度ミーティングをして研究を固めていくことができる,という意味での手厚いサポートである.アイデアもプログラムもすべて教授陣のものというわけではない.)

無事修論発表も終わったので,引っ越しの準備をしつつ,感染しないように気を付けながら残りの大阪での生活を楽しみたいと思う.修論発表が終わってからネトフリでアニメを一気見しているが,時間が溶けていくのを感じる.

最後に,研究室を選ぶ際の個人的なポイントを書いて終わることにする.

私のように学部生の頃に特にやりたい研究や理論がないような人間であれば,教授陣の研究に関する教育がしっかりしているところが良いだろう.このような研究室を見つけるには,研究室見学の際に研究室所属の学生の話を聞くのが良いと思う.聞くべき質問は,「ブラックですか?」のようなものよりは,「研究のアイデアは自分で考えるのか?」であったり,「教授陣のサポートはどうか?」であったりするのが良いと思う.初めから教授陣の指導がなく,自分で何とかしろというような放任主義的な方針は,自分のようなタイプの人間には厳しいように思う (このような研究室の方針を否定しているわけではなく,自分には合わないというだけである).

自分語りと自慢が多くなってしまったが,ここまでで終えようと思う.